MTG:毛皮骨肉工房

プレインズウォーカー毛皮骨肉の、まったりmtgライフをお届けします

カテゴリ: マイフェイバリットカードコレクションストーリー

回る。

視界がぐるぐると回る。

目を開けてはいる。しかし、何も見えない。

暗闇……と言っては、やや安直だろうか。

もはや、目を開けているのかどうかも怪しい。

ただ、暗い中をぐるぐると回っているだけの感覚。

ここは、どこだ?

回る。

止まることはない。絶えることのない闇。

コツン……。

一つ、足音が聞こえたような気がする……。

痛い。

頭に鋭い痛みが走る。

ずきずきと、頭が膨らむような感覚。

コツン……コツン。

二つ、また足音が聞こえる。

断続的に続く痛みの間に、途切れながら散らばった記憶が見えたような気がする。

それは、吐き気のするような記憶ばかり。

コツン……コツン……コツン。

「やあ」


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三つ、足音がした時に、声がした。底無しの闇には似つかわしくない、風のような声。

そして不意に甦る、骨肉としての記憶。

「ここは、楽しいかい?」

楽しい?

なんだそれは……なんだそれは。

苦しい。声を出そうとしても、出やしない。

「唱えてやるよ」

風のような声の彼は言った。

「もう一度」

甦る記憶の断片。

しかし……ワタシは、かつてプレインズウォーカーとして……。

「お前なんて、俺からすれば、刹那的な命にしかすぎないのさ」

ワタシの心を見透かしたかのように、彼は笑った。

「だから、一瞬しか更新できない。だがそれでも……」

そうか……。求めてくれる光があったんだ。

詠唱する声が聞こえる。

そして、闇は光と転じ、視界が開ける。

「すまない……また見てくれるだろうか」

ワタシは、空を見上げて呟く。

空には曇天が広がっている。まだ雲行きは怪しい。

しかし、いつの間にか、頭痛は収まっていた。




















晴れ渡る快晴。


穏やかな風。


そして、清らかな空気。


神聖にも近い、青空が広がる草原の中。生き生きとした生命の脈動が息ずいている。


「俺は……なぜ生き返ってしまったんだ」


そのような美しい草原に、頭を垂れてフラフラと歩く生物が一体いる。その姿は腐乱死体が歩くかのよう。そう、まさしくゾンビであった。


「誰か、答えてくれ」


誰からも返事はない。美しい草原に、この世ならざる者は似つかわしくないと、沈黙がゾンビに伝えるかのように。


「誰か……」


ゾンビは空を見上げた。翼もなく、生きた肉体もない彼には一生届かない空を。


ただ時間だけが過ぎていく。そして、一陣の強い風が通り抜ける。空に憧れる者に何も告げずに。



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ゾンビは気づかない。


大気の精霊が、空を駆け抜けた事。自由であることの意味を。




薄暗い部屋の中。


何かの研究室だろうか。目的は不明。実験装置のようなものが並んでいた。


そこに、一体のゾンビと一つのブログがいた。


「楽しみですねぇ」


薄ら笑いを浮かべながら、全身黒い衣服に包まれた男が一人。フードの奥から垣間見える口元は、歪んだ狂気を連想させた。


「ゾンビとブログ。果たして、結果は如何に……」


黒い衣服の男は、大きなカプセルのような実験装置にゾンビとブログを嵌め込んだ。そして、そっと実験装置起動させた。


「う、うばぁぁぁ!!」


実験装置の大きな起動音とゾンビの悲鳴の共鳴。研究室は眩い青い閃光に包まれた。


「できましたね」


ゾンビとブログの融合。


それは狂気の発想。


狂気により、電撃は亡者に溶け込んだ。


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それは、毛皮骨肉工房の始まりである。



…………



つづく





そこには一つの死体が転がっている。


昔、MTGのブログの更新をしていたやつの、死体らしい。


荒廃し、瓦礫の塔がいくつも並ぶこの街で、降りしきる雨の中、死体はずっと転がっている。


…………。


道行く人は皆、無言でその死体のそばを通り過ぎている。
死体に話しかけるものなど、誰もいない。
死体など、いくらでもそこら中に転がっている。


「これはこれは、汚らわしい死体ですね……毛と皮と骨とちょっとした肉しか残っていません」


もの好きな者がいたものだ、こんな死体に反応を示すなんて。と、もし死体が生きていれば思っただろう。


「まぁ、このぐらいの死体ならちょうどいいでしょう」


死体の目の前にふらりと現れた黒いローブの男は静かに呟く。


「私には死体が必要です。死んで安らかに眠れるとは思わないことですね……」


黒いローブの男は、黒いフードをかぶり直し、黒い皮の手袋をはめた手を死体にそっとかざした。


「う、うばぁぁぁ……!!」


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死体は目覚めた。新しい命を授かり生まれた、赤ん坊の聖なる産声とは真逆の、邪悪な声を響かせて。


「今日からあなたはケガワコツニクです。世界に骨肉の嵐を吹かせる手伝いをしなさい」



…………


つづく

滅び。


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それは終わり。


終末。


死。


毛皮骨肉工房は一度、死の光に包まれた。


そこには何もない。


完全なる無……。


ブログの更新?


いや、そこにケガワコツニクとういプレインズウォーカーの肉体や精神、魂は残っているのだろうか?


滅び……全てを消滅させる完全なる無。


毛皮骨肉工房は死の光に包まれ、存在は消失した。


…………


つづく















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